手の太陰肺経
経穴の数は11穴。肺経の主治は肺に関することが多く、主要穴は「中府(ちゅうふ)」「尺沢(しゃくたく)」「孔最(こうさい)」「列欠(れっけつ)」「太淵(たいえん)」「魚際(ぎょさい)」などと書かれた文献があります。それぞれの主要穴の主治について少し説明をしていきます。
中府(ちゅうふ)
この経穴は手の太陰肺経の最初の経穴で中焦の気が最初に集まるところ。粛降肺気(しゅくこうはいき)[肺の気を上から下へ下げたり、体の中にむけることにより、浄化したり、気を補うこと]、和胃利水(わいりすい)[水滞(水毒)を改善し胃の機能を整える]作用がある。咳、喘息、気管支炎、胸痛、顔の浮腫、嘔吐、肩や背中の痛みなどを主治とする。
尺沢(しゃくたく)
粛降肺気、滋陰潤肺(じいんじゅんぱい)[体液を補い肺を潤す]作用がある。せき、喘息、喀血、咽喉部の腫脹疼痛、心痛、胸満、嘔吐などを主治とする。
孔最(こうさい)
宣通肺気(せんつうはいき)[肺の気をゆきわたらせる]、涼血、止血の作用がある。痔疾患を主る。せき、喘息、扁桃腺肥大、肘から上腕部のひきつれや痛みなどを主治とする。
列欠(れっけつ)
宣疏肺熱(せんそはいねつ)[肺の熱を通す]作用がある。頭頸部の強ばりと痛み、せき、咽喉部の腫脹と疼痛、胸腕部に力が入らないなどを主治とする。
太淵(たいえん)
化痰止咳[痰を出し咳を止める]作用がある。また母指痛・腕関節炎またはリウマチを治する。
魚際(ぎょさい)
理気利咽[咽喉の気の流れをよくする]作用がある。また母指痛を治する名穴といわれる説もある。